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採用×アルムナイ採用

建設業 アルムナイ採用|
出戻り職人を歓迎する制度化の3手

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

辞めた職人はもう戻ってこない——そう思っている中小建設業ほど、業界内の人的資産を捨てています。建設業には元々、独立した弟子が師匠の現場を手伝う、他社に移った職人が古巣に出戻るという文化が自然に存在します。これを偶然に任せず、制度として設計するのがアルムナイ採用です。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。blog-91(リファラル採用)・blog-88(高齢者雇用)で扱った「業界内の人的資産を活かす」視点を、本稿では退職者という切り口で補います。

この記事の要点

制度の前提: 建設業退職金共済制度は「中小企業退職金共済法」に基づく建設業向けの退職金制度で、離職後1年以内の再加入により勤務期間が通算される仕組みがあります(出典は記事末尾)。

アルムナイ採用の検索需要と建退共の継続勤務要件

1
建退共の再加入・通算期限
320
建退共掛金日額(継続積立の対象)
0
出戻り歓迎で追加コストがかかる部分

出典:厚生労働省「建設業退職金共済制度(建退共制度)」

建退共の継続勤務扱いが、出戻りの後押しになる

建退共制度には、離職から1年以内に再び建退共加入事業所で就労を始めた場合、以前の勤務期間と通算して扱われる仕組みがあります。掛金の積立が途切れず継続するため、出戻りする職人にとって不利益が生じにくい制度設計になっています。

これは他業種の退職金制度にはない、建設業特有の追い風です。転職・独立から1年以内であれば、退職金の積立を無駄にせず戻れるという事実そのものが、出戻りへの心理的なハードルを下げます。この制度の存在を、採用側が積極的に伝えているかどうかで、出戻りのしやすさは大きく変わります。

出戻りを歓迎する制度化の3つの実務

「いつでも戻ってきていいよ」という口約束だけでは、制度として機能しません。3つの実務を整えることで、偶発的な出戻りを継続的な採用チャネルに変えられます。

実務内容効果
円満退職の作法退職時に連絡先を交換し、次の職場での活躍を応援する姿勢を示す「辞めたら関係終了」ではない前例を作る
緩やかな接点維持繁忙期の助っ人依頼、年1回程度の近況確認負担にならない範囲でつながりを保つ
建退共の継続勤務を伝える出戻りを検討する元社員に、1年以内なら通算される旨を案内退職金の不利益がないことを明示し心理的ハードルを下げる

ここまでの整理

アルムナイ採用の制度化は「戻ってきてほしい」と伝えるだけでなく、「戻っても不利益がない」ことを具体的に示すことが鍵です。建退共の継続勤務扱いは、この「不利益がない」を裏付ける制度上の根拠になります。

現職社員への配慮を忘れない

これは私の見立てですが、出戻り歓迎の姿勢は、実は現職社員にとっても安心材料になり得ます。「この会社は辞めた人を大切にしている」という事実は、今働いている社員に「ここで長く働いても、何かあれば選択肢がある」という余裕を感じさせます。blog-90(従業員満足度)で扱った心理的な安心感と、根っこの部分でつながっています。

ただし注意も必要です。出戻り者の待遇が現職社員より優遇されるような設計は、不公平感を生みます。処遇のバランスを取りながら、あくまで「歓迎する姿勢」として制度化することが重要です。

正社員の出戻りだけでなく、協力会社としての再接続も

独立した元社員を協力会社・一人親方として業務委託する形も、広い意味でのアルムナイ活用です。正社員としての出戻りに限らず、業界内での人的つながりを資産として活かす発想が共通しています。blog-91(リファラル採用)で扱った職人ネットワークと、このアルムナイ的な発想を組み合わせることで、採用チャネルの選択肢はさらに広がります。

もし1つだけ持ち帰るなら

過去に円満退職した元社員のリストを、今週中に1枚のメモにまとめてください。連絡先が分かる人だけで構いません。この1枚が、業界内に眠っていた人的資産を可視化する最初の一歩になります。

よくある質問

Q. 建退共の継続勤務扱いとは何ですか?

A. 建退共制度では、離職から1年以内に再び建退共加入事業所で就労を始めた場合、以前の勤務期間と通算して扱われる仕組みがあります。掛金の積立が途切れず継続するため、出戻りする職人にとって不利益が生じにくい制度設計になっています。

Q. 出戻り歓迎の姿勢は、現職の社員に悪影響を与えませんか?

A. 「辞めても戻れる」という前例は、現職社員にとっても安心材料になり得ます。ただし出戻り者の待遇が現職社員より優遇されるような設計は不公平感を生むため、処遇のバランスには配慮が必要です。

Q. 退職者との関係は、具体的にどう維持すればよいですか?

A. 退職時に連絡先を交換し、繁忙期の助っ人依頼や、年に一度の近況確認など、負担にならない範囲での接点を持ち続けることが現実的です。強制的な連絡ではなく、緩やかなつながりを保つ姿勢が重要です。

Q. 独立した職人を協力会社として迎える場合も同じ考え方ですか?

A. はい。独立した元社員を協力会社・一人親方として業務委託する形も、広い意味でのアルムナイ活用です。正社員としての出戻りに限らず、業界内での人的つながりを資産として活かす発想が共通しています。

Q. 出戻り採用と新規採用、どちらを優先すべきですか?

A. 即戦力確保という点では出戻り採用が有利ですが、対象者数には限りがあります。新規採用と出戻り採用は競合するものではなく、両方のチャネルを並行して持つことが現実的な採用戦略です。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。辞めた職人は、失った戦力ではなく、業界内に残った人的資産です。円満退職の作法・緩やかな接点維持・建退共の継続勤務扱いの案内、この3つを整えるだけで、偶発的な出戻りが継続的な採用チャネルに変わります。DIALOGは急性期医療23年の臨床知見と制度理解の両面から、貴社のアルムナイ採用制度の設計にこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

出戻り歓迎の制度設計から、他の採用チャネルとの組み合わせまで伴走します

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、アルムナイ採用の制度設計や、リファラル採用・人材紹介との使い分けをご提案しています。円満退職の作法から接点維持の運用まで、貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、厚生労働省・建設業退職金共済事業本部が公開する一次資料を踏まえた解説です。建退共の継続勤務要件・最新の運用は、必ず建設業退職金共済事業本部の公表資料でご確認ください。本記事は雇用契約の適法性を保証するものではなく、社会保険労務士等の専門家との併用をおすすめします。