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採用×リファラル採用

建設業 リファラル採用|
職人ネットワークを紹介制度に変える3手

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

リファラル採用は大企業のIT・スタートアップの話——そう思っている中小建設業ほど、最も定着率の高い採用手法を見逃しています。職人同士のつながりが濃い建設業ほど、実はこの採用手法と相性がいいのです。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。blog-85(人材紹介)では外部業者を使う採用チャネルを扱いました。本稿は、社員自身が紹介者になる第3のチャネルです。

この記事の要点

制度の前提: リファラル採用の紹介インセンティブは、金額や条件によっては職業安定法上の問題になり得るため、設計には注意が必要です(出典は記事末尾)。

中小企業の採用手法別・定着に役立った割合(商工中金調査)

35.9%
従業員からの紹介(リファラル採用)
33.3%
経営者・役員・取引先からの紹介
20%台
ハローワーク・就職情報サイト

出典:商工中金「中小企業の人材確保に関する調査」(2024年1月)

なぜリファラル採用が建設業に向いているのか

商工中金が取引先中小企業を対象に実施した調査では、「従業員からの紹介」がもっとも人材の定着に役立った採用方法として最多の回答を集めました。ハローワークや就職情報サイトを通じた採用より高い結果です。

建設業がこの手法と相性がいいのは、職人同士のネットワークが他業種より濃いという事情があります。同じ現場で働いた経験がある、同じ協力会での付き合いがあるなど、業界内のつながりは既に日常的に存在しています。このつながりを、意図的に採用の入口として使っていないだけです。

実際、建設業の現場では「知り合いのつてで入った」という職人が珍しくありません。これは既に自然発生的にリファラル採用が起きていることを意味します。制度化されていないだけで、素地は既にできているというのが実情です。

紹介制度を設計する3つの実務

リファラル採用は「知り合いを誘ってください」と声をかけるだけでは、継続的な制度になりません。3つの実務を整えることで、単発の紹介ではなく仕組みとして機能します。

実務内容注意点
インセンティブ設計紹介者への謝礼を、入社時と定着後(3〜6ヶ月)の分割で設定高額すぎると職業安定法上のリスク
紹介しやすい導線朝礼や社内掲示で「今、こういう人材を探している」を定期的に共有強制感を与えない伝え方にする
結果に関わらない感謝採用に至らなくても、紹介してくれたこと自体に一言お礼を伝える結果だけで評価すると次の紹介が起きにくくなる

ここまでの整理

リファラル採用の制度化は「声をかけること」ではなく「継続的に紹介したくなる仕組みを作ること」から始まります。インセンティブ・導線・感謝の3つが揃って初めて、単発の紹介が制度として回り始めます。

紹介する側のメリットを、採用担当者が忘れない

これは私の見立てですが、リファラル採用で見落とされがちなのが、紹介する側(既存社員)にとってのメリットです。インセンティブだけでなく、「信頼できる仲間と一緒に働ける」という安心感が、紹介する側の動機として大きく働きます。blog-90(従業員満足度)で扱った簡易サーベイで満足度が高い社員ほど、自発的に紹介してくれる傾向があると考えられます。満足度とリファラル採用は、実は表裏の関係にあります。

紹介された側が定着すれば、紹介した側の現場の人間関係も安定します。この好循環を意識して制度を設計することが、単なる採用コスト削減以上の価値を生みます。

逆に注意したいのは、紹介した相手が早期に辞めてしまった場合の紹介者への配慮です。紹介者自身が「自分の紹介のせいで気まずい思いをさせた」と感じてしまうと、次回以降の紹介意欲が下がります。採用担当者が間に入り、退職理由は本人の状況によるものであって紹介者の責任ではないことを丁寧に伝える姿勢が大切です。

人材紹介・求人票との使い分け

リファラル採用だけに頼ると、母集団の広がりに限界があります。blog-85(人材紹介)で扱った外部業者は、即戦力を急いで確保したい場面に向いています。一方でリファラル採用は、時間をかけてでも定着重視で採用したい場面に向いています。両者を状況に応じて使い分けることが、中小建設業の現実的な採用戦略です。

求人票や人材紹介で応募が集まらない職種ほど、実はリファラル採用が効きやすいという逆説もあります。求人媒体では魅力が伝わりにくい仕事内容でも、実際に働く社員が直接説明すれば、応募者の理解と納得感は大きく変わります。母集団の量を求人票・人材紹介で確保し、質と定着をリファラル採用で補うという役割分担が現実的です。

もし1つだけ持ち帰るなら

今週の朝礼で、「今、こういう人材を探している」と一言共有してください。強制せず、情報を共有するだけで十分です。この一言が、職人ネットワークを紹介制度に変える最初の一歩になります。

よくある質問

Q. リファラル採用の紹介インセンティブは高額でも問題ありませんか?

A. 高額なインセンティブは職業安定法上の問題になり得るため注意が必要です。紹介料が実質的な有料職業紹介事業とみなされないよう、金額や支給条件は事前に社会保険労務士等に確認しておくことをおすすめします。

Q. 紹介した人が早期退職したら、インセンティブはどうなりますか?

A. 多くの企業では、入社後一定期間(3〜6ヶ月程度)の在籍を条件にインセンティブを支給する設計にしています。早期退職のリスクを踏まえ、入社時と一定期間経過後の分割支給にする方法も現実的です。

Q. 紹介がうまくいかなかった場合、紹介者との関係が気まずくなりませんか?

A. 採用に至らなかった場合でも、紹介してくれたこと自体に感謝を伝える運用にしておくことが重要です。結果だけで評価すると、次回以降の紹介が起きにくくなります。

Q. リファラル採用と人材紹介、どちらを優先すべきですか?

A. 商工中金の調査では、リファラル採用の定着率が35.9%と、他の採用手法より高い結果が出ています。ただしリファラル採用だけでは母集団の広がりに限界があるため、急ぎの採用には人材紹介、中長期の定着重視の採用にはリファラル採用と使い分けるのが現実的です。

Q. 紹介する側の職人にとって、どんなメリットがありますか?

A. インセンティブに加えて、信頼できる仲間と一緒に働けるという安心感が大きなメリットです。紹介した相手が定着することで、現場の人間関係が安定し、本人の働きやすさにもつながります。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。リファラル採用は、大企業だけの特別な採用手法ではありません。職人ネットワークが濃い建設業だからこそ、紹介の力は既に社内に眠っています。インセンティブ設計・紹介しやすい導線・結果に関わらない感謝、この3つを整えるだけで、最も定着率の高い採用チャネルが動き始めます。DIALOGは急性期医療23年の臨床知見と制度理解の両面から、貴社のリファラル採用制度の設計にこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

リファラル採用制度の設計から、既存チャネルとの使い分けまで伴走します

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、リファラル採用制度の設計や、人材紹介・求人票との使い分けをご提案しています。インセンティブ設計から運用の仕組み化まで、貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、商工組合中央金庫(商工中金・財務省及び経済産業省所管の政策金融機関)が公表した調査結果、厚生労働省が公開する一次資料を踏まえた解説です。調査結果の詳細・最新の統計は、必ず商工中金の公表資料でご確認ください。紹介インセンティブの制度設計は職業安定法等の法令に抵触しないよう、社会保険労務士等の専門家との併用をおすすめします。