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建設業 働き方改革・上限規制2年目

建設業 働き方改革|
時間外上限2年目・健康経営×経審加点の3手

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

2024年4月の時間外労働上限規制から、もう2年。御社の36協定、最後に見直したのはいつですか。

本記事は、上限規制2年目の中小建設業の社長と現場責任者に向けて、「働き方改革」の罰則対応で終わらせず、健康経営の取り組みと経営事項審査のW点加点まで一本で取りに行く順番をまとめたものです。経審W点加点の起点はblog-52で、人手不足倒産はblog-67で、社会保険未加入の経審影響はblog-59で扱いました。本稿は働き方改革→健康経営→経審W点の3点接続という別軸で組み立てます。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で長時間労働の末に運ばれてくる方を担当してきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。罰則対応を「書類整備」で終わらせず、現場の勤怠データを健康経営申請・経審加点まで運ぶ伴走が、私たちの提供価値です。

この記事の要点

制度・統計の前提: 建設業の時間外労働上限規制(労働基準法第36条・厚生労働省)、健康経営優良法人認定制度(経済産業省)、経営事項審査の社会性等評価(W点・国土交通省)。上限規制の罰則は労働基準法第119条等により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金。

この記事で扱うこと

2024年問題2年目の現実——罰則ラインを先に正確に握る

建設業の時間外労働上限規制は、2024年4月から大企業・中小企業の区別なく適用されています(厚生労働省)。基本ラインは、原則として月45時間・年360時間。36協定の特別条項を結んでも、年720時間以内・月100時間未満・複数月平均80時間以内・月45時間超は年6回までが上限です。

違反した場合の罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金。送検事例は厚生労働省サイトで公表され、企業名が出ます。中小現場で重いのは、罰則そのものより公表後の発注者・金融機関・採用市場での副次的な影響です。

言い換えると、上限規制対応は法令遵守の話だけではなく、入札評価・取引・採用に直結する経営の話だ、ということです。2年目に入った今、36協定の有効期間更新と勤怠の実数突合が、最初の現実の仕事になります。

健康経営の取り組みが、時間管理を整える3つの仕組み

経済産業省の健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定基準には、労働時間の適正化や有給休暇取得促進などが評価項目として並びます。つまり健康経営の取り組みを真面目に進めると、上限規制で求められる勤怠整備と同じ作業を二度しないで済む構造になっています。

第1に、勤怠の実数把握。打刻と日報の二重管理をやめ、月次で時間外実績を集計できる状態に揃えます。健康経営申請の入力欄と36協定の自己点検が、同じデータで埋まります。

第2に、有給休暇の取得率の見える化。年5日の取得義務(労働基準法)は健康経営の評価項目と重なります。誰がいつ取ったかが台帳で出れば、申請書類と労基署対応の両方が同時に整います。

第3に、健康確保措置の文書化。36協定特別条項の「健康確保措置」と、健康経営の「長時間労働者への医師面接の実施」は実質的に同じ書類で揃います。一度作れば、両方の棚に置けます。

ここまでの整理

上限規制対応・健康経営優良法人申請・経審W点加点は、別々の書類仕事ではありません。勤怠データ1セットで、3つの棚を同時に埋めるのが中小建設業の現実解です。順番は、勤怠の実数整備→健康経営申請→経審加点反映。逆順で進めると、現場の実態と書類が乖離して、後で書き直しが発生します。

経審W点加点まで取りに行く順序

経営事項審査の社会性等評価(W点)では、労働福祉の状況(雇用保険・健康保険・厚生年金等)に加え、健康経営優良法人の認定が加点項目として設定されています(国土交通省)。blog-52では経審W点を起点に健康経営を逆算しましたが、本稿は働き方改革を起点に同じ加点を取りに行く順序です。

これは私の見立てですが、中小建設業の経営者にとって最も動きやすいのは「2024年問題対応」の入口です。上限規制対応は労基署の指導が現実の圧力として効くため、社内の同意が取りやすい。同じ工程で健康経営申請の素材が貯まり、経審W点の加点にも反映されます。3つを別の仕事として取りに行くと、中小現場の事務リソースは持ちません。

申請のタイミングは、健康経営優良法人の申請受付期間(例年秋)から逆算して、6月〜8月に36協定と勤怠整備、9月に申請書類の組み立て、というスケジュールが現実的です。経審の更新時に健康経営の認定証を提出できる順序が、最も無駄が出ません。

急性期医療で23年見た、長時間労働の臨床的怖さ

急性期病院で23年、長時間労働の末に脳・心臓疾患で運ばれてきた働き盛りの方を数多く担当しました。共通していたのは、発症の前月に「先月、自分が何時間働いていたか正確には知らなかった」と本人が言ったことです。

過労死等防止対策推進法の認定基準で、複数月平均80時間という数字には根拠があります。月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限規制の数字は、この医学的根拠と地続きです。「ぎりぎり守れば大丈夫」ではなく、このラインに常に張り付いている状態は、すでに臨床的にはリスクゾーンに入っていると、現場で見てきた人間としては感じています。

上限を「守る」だけではなく「ラインから距離を取る」設計に踏み込めるかが、中小建設業の社長にしか出せない判断です。健康経営の取り組みは、その距離を会社の標準に書き換える道具になります。

もし1つだけ持ち帰るなら

今月中に直近3か月の時間外実績を、社員ごとに数字で出すこと。これだけで36協定の自己点検・健康経営申請の素材・経審W点の根拠が同時に動き始めます。Excelの集計1枚で十分です。勤怠データが揃わないと、その先のすべての書類が現場の実態から浮きます。

よくある質問

Q. 中小建設業も時間外労働の上限規制の対象になりますか?

A. 対象です。建設業は2024年4月から大企業・中小企業の区別なく上限規制が適用されました(厚生労働省)。年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満、月45時間超は年6回までが基本ラインです。36協定の特別条項を結んでいても、この上限は超えられません。

Q. 上限を超えると、どんな罰則がありますか?

A. 労働基準法第32条等の違反として、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象です(厚生労働省)。送検された場合は企業名公表もあり、経営事項審査の社会性等評価や金融機関の評価にも波及します。罰則の重さよりも、入札と取引で受ける副次的な影響のほうが中小現場には重い、というのが私たちの見立てです。

Q. 36協定はいつ見直せばよいですか?

A. 1年に1回、有効期間の更新時に必ず見直します。2024年4月以降の様式に切り替わっているか、特別条項に「健康確保措置」が記載されているかが基本のチェックポイントです。記載がない様式で運用していると、上限を守っていても形式違反の指摘を受けます。労基署所定の様式は厚生労働省サイトで配布されています。

Q. 健康経営の取り組みは、経営事項審査のW点に効きますか?

A. 効きます。経営事項審査の社会性等評価(W点)には労働福祉の状況等の項目があり、健康経営優良法人の認定取得も加点対象です(国土交通省)。労働時間の適正化は健康経営優良法人の評価項目に直結するため、上限規制対応・健康経営取得・W点加点の3つは別物ではなく一本の線でつなげて設計できます。

Q. 申請までの順序は、どこから動かせばよいですか?

A. (1)36協定と勤怠の現状確認、(2)健康経営優良法人の評価項目との突合、(3)経審W点の社会性等評価項目との突合、の順番が現実的です。先に申請書を埋めようとすると、現場の実態と書類が乖離します。勤怠の実数を整える工程を先に置くと、健康経営申請・経審加点の両方に同じデータが流用できます。

最後に — 中小建設業の社長へ

働き方改革は、罰則を避けるための守りの仕事ではありません。同じ勤怠データを健康経営申請と経審W点加点に流用すれば、入札評価と採用市場の両方で効く攻めの設計に変わります。書類仕事を3つに分けて消耗するか、1つの工程で3つの棚を埋めるかは、社長の最初の判断1つで決まります。

2024年問題2年目の今、貴社の36協定・勤怠実数・健康経営申請の3つを並べて、経審W点加点まで一本で取りに行く伴走をDIALOGはご提案します。経審W点起点の整理はblog-52、人手不足倒産リスクはblog-67、社会保険未加入の経審影響はblog-59もあわせてご覧ください。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で長時間労働の末に運ばれてきた働き盛りの方の救急搬入直後を担当してきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

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働き方改革→健康経営→経審W点加点を、貴社の勤怠データ1セットで取りに行きます

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、2024年4月施行の時間外労働上限規制への対応、健康経営優良法人申請、経営事項審査W点加点の3つを、勤怠データ1セットで同時に取りに行く設計を伴走します。罰則回避の書類仕事を、入札評価と採用市場の両方に効く攻めの設計に切り替えるところまで、急性期医療23年の臨床知見をもとにご提案します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床経験と、厚生労働省・経済産業省・国土交通省・建設業労働災害防止協会が公開する一次資料を踏まえた解説です。引用した制度値・罰則・評価項目は本記事公表時点の内容であり、政省令・通達・告示の改定により変更され得ます。実際の36協定届出・健康経営優良法人申請・経営事項審査の運用にあたっては、所轄労働基準監督署・許可行政庁および各制度の最新公表資料を必ずご確認ください。本記事は法令違反の有無や認定取得を保証するものではなく、社会保険労務士・行政書士・産業医・建災防等の専門家との併用をおすすめします。