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健康経営×座位行動

座りっぱなし|
「デスクワークだから安全」という誤解が、健康リスクを見えなくしている

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

体を動かす現場仕事の方が、デスクワークより健康リスクは高い——そう感じている経営者は多いのではないでしょうか。事務・管理部門の健康管理は、後回しにされがちです。しかし厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、座りっぱなしの状態そのものが、独立した健康リスクとして位置づけられています。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で座る・立つ・動くという基本動作が心身に与える影響を見続けてきた知見をもとに、中小企業の健康経営・人材定着支援を提供しています。blog-103(睡眠の質)では見えないコストとしてのプレゼンティーズムを扱いました。本稿は座位行動という、もう一つの見過ごされがちな要因に焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: 座位行動とは、座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動を指し、厚生労働省の身体活動・運動ガイドで新たに取り入れられた概念です(出典は記事末尾)。

座位行動と、関連する健康リスク

1.5メッツ以下
座位行動の定義(エネルギー消費量の基準)
+10
「プラステン」が示す実践目標
0
座位を中断する習慣づくりに必要な追加費用

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

「動く仕事だから大丈夫」という誤解

現場作業が中心の会社では、健康施策の対象が現場の職人に偏りがちです。事務・管理部門は「座っているだけだから」と後回しにされやすい構造があります。しかし厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、身体活動不足と長い座位時間が、糖尿病や運動器障害などの健康リスクを高め、腰痛・肩こり・頭痛につながりやすく、労働生産性にも影響する可能性があるとされています。

さらに見落とされやすいのは、現場仕事の従業員にも座位行動の時間が一定あるという点です。重機の運転、事務所での書類作業、休憩時間のスマートフォン使用など、「体を動かす仕事だから安心」という前提そのものが、実は正確ではありません。

座位行動に向き合う3つの実務

大掛かりな運動プログラムは必要ありません。日常業務の合間に組み込める3つの実務から始められます。

実務内容目的
座位を中断する習慣1時間に1回、立ち上がる・少し歩くタイミングを作る座り続ける時間を区切る
「+10」を意識した業務設計会議を立って行う、資料を取りに行く動作を残す等特別な運動なしで活動量を増やす
事務・管理部門にも目を向ける健康施策の対象を現場だけに限定しない「座っているから安全」という思い込みを解消する

ここまでの整理

3つの実務に共通するのは、「動く仕事か、座る仕事か」という二分法をやめることです。座位行動は誰にでもあり、誰にとってもリスクになり得るという前提に立ち直すことが出発点です。

「座る」も「動く」も、同じ身体機能の一部

これは私の見立てですが、急性期病院のリハビリでも、座る・立つ・歩くという基本動作は連続したものとして評価します。体を動かす仕事をしているから座る時間の影響を受けない、という区分けは実際の身体の仕組みとは合っていません。座位行動への意識は、業種や職種を問わず、すべての働く人に共通して必要な視点だと感じています。

もし1つだけ持ち帰るなら

次の会議、「立って行う」ことを1回だけ試してください。特別な準備は要りません。この1回が、座位行動を見直す最初のきっかけになります。

よくある質問

Q. 座位行動とは何ですか?

A. 座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動を指します。デスクワークのほか、座ってスマートフォンを見る時間なども含まれます。厚生労働省の身体活動・運動ガイドで新たに取り入れられた概念です。

Q. なぜデスクワークが健康リスクになるのですか?

A. 厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、身体活動不足と長い座位時間が、糖尿病や運動器障害などの健康リスクを高め、腰痛・肩こり・頭痛につながりやすく、労働生産性にも影響する可能性があるとされています。

Q. 「+10」とは何ですか?

A. 厚生労働省のアクティブガイドが示す実践メッセージで、「今より10分多く体を動かそう」という意味です。大掛かりな運動でなくても、今の生活に10分の活動を加えることから始められるという考え方です。

Q. 現場仕事の従業員には関係ない話ですか?

A. いいえ。現場の職人であっても、事務所での書類作業や運転など、座位行動の時間は一定あります。座位行動への意識は、体を動かす仕事だからと安心せず、全ての従業員に共通して持つべき視点です。

Q. 小規模な会社でも実践できますか?

A. はい。特別な運動プログラムは不要です。1時間に1回立ち上がる、会議は立って行う日を作るなど、既存の業務の合間に取り入れられる工夫から始められます。

最後に — 人材課題を抱える中小企業の経営者様へ

人材課題を抱える中小企業の経営者様へ。「動く仕事だから大丈夫」「デスクワークだから安全」という二分法をやめ、座位行動への意識を全ての従業員に広げることが、見えない健康リスクへの第一歩です。DIALOGは急性期医療23年の身体機能評価の知見をもとに、貴社の健康経営にこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

事務・管理部門も含めた健康経営から、健康経営優良法人の取得支援まで伴走します

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DIALOGは、人材の定着・技能承継に課題を抱える中小企業を対象に、健康経営優良法人の取得支援や、座位行動を含めた身体機能への対策をご提案しています(建設業向けには「ぱとす」による伴走支援も行っています)。貴社の業種・現状に合わせてご相談ください。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、厚生労働省が公開する一次資料を踏まえた解説です。個別の健康状態に関する判断は、医療機関にご相談ください。