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定着×健康管理

ロコモティブシンドローム|
「まだ大丈夫」で見過ごされる、職人が動けなくなる兆候

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

骨折・転倒は、要介護になる原因の上位に入り続けています。意外に思われるかもしれませんが、この運動機能の低下は40代から静かに始まります。しかも本人には自覚しにくく、「まだ大丈夫」と思っているうちに進行しているケースが少なくありません。高所作業や重量物運搬が多い建設業の職人にとって、これは他人事ではありません。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で患者さんの運動機能を評価し続けてきました。blog-88(高齢者雇用)では継続雇用の制度設計を扱いました。本稿はその土台となる、「戦力として動き続けられるか」を早期に見極める視点に焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: ロコモティブシンドロームは日本整形外科学会が2007年に提唱した概念で、運動器の障害により要介護になるリスクが高い状態を指します(出典は記事末尾)。

要介護の原因と、ロコモ度テストの構成

13.0%
要介護になった原因のうち「骨折・転倒」の割合
3種類
ロコモ度テストの構成(立ち上がり・2ステップ・ロコモ25)
40代〜
ロコモが始まるとされる目安年齢

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」に基づく令和3年版高齢社会白書(内閣府)、日本整形外科学会「ロコモONLINE」

なぜ建設業の職人にとって「他人事ではない」のか

ロコモティブシンドロームは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害によって、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態を指します。進行すると、要介護状態につながるリスクが高まります。厚生労働省の調査に基づく高齢社会白書では、介護が必要になった主な原因として「骨折・転倒」が継続して上位に挙げられています。

高所作業や重量物運搬、しゃがみ込んでの作業が多い建設業では、運動機能の低下がそのまま「できる作業の範囲」に直結します。しかも本人は「体を動かす仕事だから鍛えられている」と思い込みやすく、日々の疲労と機能低下の区別がつきにくいという特有の難しさがあります。

特別な器具なしでできる、3つの早期発見の実務

ロコモの早期発見は、健康診断とは別に用意する必要はありません。日本整形外科学会が公表している3つのテストのうち、現場ですぐ使えるものから始めれば十分です。

実務内容実施のしやすさ
立ち上がりテスト片脚・両脚で、台から反動をつけずに立ち上がれるかを確認朝礼後の数分で実施可能。器具は台のみ
2ステップテストできる限り大股で2歩歩き、歩幅を測定広めの通路があれば現場でも実施可能
ロコモ25運動器の不調に関する25項目の質問票に回答休憩時間に記入してもらう運用がしやすい

ここまでの整理

3つのテストに共通するのは、「痛みがあるかどうか」ではなく「動作ができるかどうか」を見るという視点です。痛みを我慢する職人は多くても、動作の質の低下までは本人が気づきにくいため、外側からの簡易チェックが有効です。

該当者への伝え方が、その後の対応を左右する

これは私の見立てですが、急性期病院で運動機能の低下を伝える場面は、伝え方一つで患者さんの受け止め方が大きく変わりました。「もう現場に立てない」という否定的な伝え方ではなく、「早めに手を打てば戦力として長く働ける」という前向きな枠組みで伝えることが重要です。blog-55(エイジフレンドリー補助金)で扱った転倒・腰痛対策の費用負担軽減策と組み合わせれば、対策の実行段階までスムーズにつなげられます。

もし1つだけ持ち帰るなら

次回の朝礼で、「立ち上がりテスト」を希望者だけでも1回試してみてください。20cmの台から片脚で反動をつけずに立てるかどうか、それだけで運動機能の状態がおおまかに分かります。特別な準備は要りません。

よくある質問

Q. ロコモティブシンドロームとは何ですか?

A. 骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害によって、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態を指します。日本整形外科学会が2007年に提唱した概念で、進行すると要介護状態につながるリスクが高まります。

Q. 何歳くらいから注意が必要ですか?

A. ロコモは40代から始まるとされていますが、自覚症状が乏しいため、本人が気づいた時には進行しているケースが少なくありません。特に体を使う仕事では、日々の疲労と区別がつきにくいことが早期発見を難しくしています。

Q. ロコモ度テストは会社で実施できますか?

A. 「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」は特別な器具がなくてもできる簡易テストで、朝礼後の数分で実施可能です。「ロコモ25」は25項目の質問票形式のため、休憩時間などに記入してもらう運用がしやすいです。

Q. 該当した職人にはどう伝えればよいですか?

A. 「もう現場に立てない」という否定的な伝え方は避け、「早めに手を打てば戦力として長く働ける」という前向きな枠組みで伝えることが重要です。整形外科への受診を促す際も、本人の不安を煽らない言葉選びを心がけます。

Q. 高齢者雇用の継続とロコモ対策はどう関係しますか?

A. 継続雇用の可否を左右するのは、多くの場合、年齢そのものより実際の運動機能です。ロコモの早期発見・予防に取り組むことは、継続雇用制度を実質的に機能させるための土台になります。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。ロコモティブシンドロームは、特別な健康診断項目を増やさなくても、立ち上がりテストのような簡易チェックから早期発見に着手できます。「まだ大丈夫」で見過ごされがちな運動機能の変化を拾うことが、ベテラン職人が戦力として働き続けられる期間を延ばす第一歩です。DIALOGは作業療法士として23年間培った運動機能評価の知見をもとに、貴社の高齢職人対策にこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

運動機能の早期発見から、高齢職人の継続雇用制度づくりまで伴走します

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、作業療法士の知見を活かしたロコモ予防・運動機能チェックの導入をご提案しています。貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、厚生労働省・日本整形外科学会が公開する一次資料を踏まえた解説です。ロコモ度テストの実施・判定は日本整形外科学会の公式情報を必ずご確認ください。本記事は医学的診断を代替するものではありません。