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採用×リファレンスチェック

リファレンスチェック|
「面接で見極めている」という思い込みが、採用ミスマッチを生んでいる

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

「面接でしっかり人物を見ている」——多くの経営者がそう考えていますが、これは思い込みかもしれません。厄介なのは、この思い込み自体が問題として意識されにくいことです。ミスマッチが起きても「本人の問題」「相性の問題」と片付けられ、選考プロセスそのものに原因があるとは疑われにくいのです。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で一度の観察だけでなく複数の情報源から患者さんの状態を判断してきた知見をもとに、中小企業の健康経営・人材定着支援を提供しています。blog-94(中途採用)では入社後の期待値すり合わせを扱いました。本稿はその手前、選考段階の盲点に焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: 厚生労働省は採用選考の基本方針として、応募者が「求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で判断することを求めています(出典は記事末尾)。

リファレンスチェックの検索需要と、確認すべき範囲

1
通常の面接で候補者と接する回数
職務関連のみ
確認してよい範囲(本籍地・家族構成等は対象外)
0
外部サービスを使わず自社で行う場合の追加費用

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

「見極めている」が思い込みになりやすい理由

面接という場は、候補者が最も準備し、最も良く見える状態で臨む場です。これは候補者を責めているのではなく、選考の場の性質そのものです。一方で、実際の業務で問われるのは、継続的な対人関係や、忙しい時期・うまくいかない時期にどう振る舞うかという、一度きりの短い面接では見えにくい行動パターンです。

厚生労働省は採用選考の基本方針として、応募者が「求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で判断することを求めています。面接だけに頼ると、この「的確な把握」という目的そのものが達成しにくくなります。リファレンスチェックは、面接という一つの情報源を、前職での実際の様子という別の情報源で補う手段です。

リファレンスチェックを始める3つの実務

外部サービスを使わなくても、3つの実務を押さえれば自社で実施できます。

実務内容注意点
本人の同意を得る「入社前の最終確認として、前職の方に伺ってもよいか」と率直に伝える同意なく連絡することは避ける
前職の直属上司に確認する在籍期間・担当業務・実際の仕事ぶりを聞く人事部門より現場の上司の方が具体的な情報を持つ
確認項目を職務関連に絞る業務遂行に直接関連する内容のみ質問する本籍地・家族構成等は公正な採用選考の観点から対象外

ここまでの整理

3つの実務に共通するのは、面接という一つの情報源だけで判断を完結させないことです。採用選考の目的である「適性・能力の的確な把握」に立ち返れば、複数の情報源を組み合わせることは自然な発想です。

一度の観察に頼らない、という評価の基本

これは私の見立てですが、急性期病院で患者さんの状態を判断する際、一度の観察だけで結論を出すことはありません。時間帯や状況によって見え方が変わるため、複数の場面・複数の情報源から総合的に判断します。採用選考も同じ構造だと考えると、面接一回だけで人物を「見極めた」と結論づけることの危うさが見えてきます。

もし1つだけ持ち帰るなら

次に内定を出す前、候補者に「前職の方に一言伺ってもよいか」と聞いてみてください。特別な費用も外部サービスも要りません。この一言が、面接だけでは見えなかった情報を補う最初の一歩になります。

よくある質問

Q. リファレンスチェックとは何ですか?

A. 候補者本人の同意を得た上で、前職の上司や同僚に、実際の仕事ぶりや人柄について確認する採用選考の手法です。面接では見えにくい、日常業務での行動パターンを把握する目的で行います。

Q. なぜ面接だけでは見極めが難しいのですか?

A. 面接は候補者が最も良く見える状態で臨む、一度きりの限られた時間の場です。継続的な業務での対人関係やストレス下での反応など、日常の行動パターンは短時間のやり取りだけでは把握しきれません。

Q. リファレンスチェックで何を確認すればよいですか?

A. 在籍期間・担当業務といった事実確認に加え、実際の仕事ぶりや周囲との関わり方など、職務遂行に直接関連する内容に絞ります。本籍地や家族構成など、本人に責任のない事項を尋ねることは、公正な採用選考の観点から避けるべきです。

Q. 前職に確認の連絡をすると、候補者との信頼関係が悪化しませんか?

A. 必ず事前に本人の同意を得てから実施することが前提です。同意なく連絡することは避け、「入社前の最終確認として、前職の方に一言伺ってもよいか」と率直に伝えれば、多くの場合は前向きに受け止められます。

Q. 小規模な会社でも実践できますか?

A. はい。専門の外部サービスを使わなくても、社長自身が候補者の同意を得た上で、前職の直属の上司に電話で数点確認するだけで十分な効果があります。特別な費用はかかりません。

最後に — 人材課題を抱える中小企業の経営者様へ

人材課題を抱える中小企業の経営者様へ。「面接で見極めている」という思い込みは、意識しない限り気づけない盲点です。採用選考の本来の目的である「適性・能力の的確な把握」に立ち返り、面接という一つの情報源に、前職での様子という別の情報源を加えることが、採用ミスマッチを減らす一歩になります。DIALOGは急性期医療23年の評価・観察の知見をもとに、貴社の採用選考にこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

採用選考の仕組みづくりから、入社後の定着施策まで伴走します

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DIALOGは、人材の定着・技能承継に課題を抱える中小企業を対象に、健康経営優良法人の取得支援や、採用ミスマッチを防ぐ選考プロセスの見直しをご提案しています(建設業向けには「ぱとす」による伴走支援も行っています)。貴社の業種・現状に合わせてご相談ください。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、厚生労働省が公開する一次資料を踏まえた解説です。リファレンスチェックの実施にあたっては、個人情報保護・公正な採用選考の観点から、必ず本人の同意を得た上で、職務に関連する範囲にとどめてください。