← ブログ一覧に戻る
定着×組織行動

適材適所|
「なんとなく」の配置が、生産性と離職を同時に損なっている理由

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

同じ人数を抱えているのに、去年より生産性が上がらない。配置したばかりの職人が、数ヶ月で辞めていく。こうした悩みの原因を、本人の能力や意欲の問題だと考えていませんか。実際には、「なんとなく」「空いているから」で決めた配置そのものが、生産性と離職の両方を同時に損なっている場合があります。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で患者さん一人ひとりの能力を評価し、適した活動を割り当ててきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。blog-89(タレントマネジメント)では技能の可視化を扱いました。本稿はその先にある、配置の意思決定そのものに焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: 厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)は、採用選考・適材配置・教育訓練・再配置など幅広い場面で活用される検査です(出典は記事末尾)。

適材適所を判断する仕組み

9
GATBが測定する適性能(知的能力・空間判断力・器用さ等)
50年以上
GATBの活用実績
4段階
CCUS(建設キャリアアップシステム)の技能レベル区分

出典:労働政策研究・研修機構「厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)」

「なんとなく配置」が二重のコストを生む構造

向いていない作業を担当し続けると、習熟に時間がかかり、生産性が上がりにくくなります。周囲と同じ経験年数でも、成果に差が出やすくなるのはこのためです。同時に、本人は「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」という手応えのなさを感じ続けることになります。この感覚が積み重なると、「自分には向いていない」という結論に至り、早期離職につながります。

厚生労働省編の一般職業適性検査(GATB)は、知的能力・言語能力・空間判断力・指先の器用さなど9種類の適性能を測定し、個人の特徴と職業との適合性を判断する検査です。50年以上の実績があり、採用選考だけでなく、適材配置・教育訓練・再配置といった場面でも活用されています。感覚ではなく測定に基づいて配置を検討する方法が、すでに確立されているということです。

適材適所を仕組み化する3つの実務

大掛かりな検査を導入しなくても、3つの実務を組み込むだけで、配置の精度は感覚的な判断より上がります。

実務内容目的
適性を言語化する細かい作業が得意か、体力を使う作業が得意か等を簡単に整理する「なんとなく」の判断基準を明確にする
配置理由を本人に伝えるなぜその作業を任せるのか、理由を添えて伝える納得感を持って取り組んでもらう
配置後にフィードバックを求める数週間後、本人の手応えを聞く場を作るミスマッチを早期に修正する

ここまでの整理

3つの実務に共通するのは、配置を「決めて終わり」にしないことです。理由を言語化し、本人の手応えを聞き、必要なら修正する。この一連の流れがあるだけで、感覚的な配置よりミスマッチを早期に防げます。

「向いている」の判断は、経験だけに頼らない

これは私の見立てですが、急性期病院でリハビリのプログラムを組む際、患者さんに何ができそうかを判断する基準は、経験則だけではありません。動作の評価という「測定」を組み合わせることで、感覚のズレを補正できます。配置の判断も同様で、経験豊富な現場監督の勘は貴重ですが、それだけに頼ると同じ偏りを繰り返しやすくなります。blog-89(タレントマネジメント)で扱ったCCUSの技能レベルも、この判断材料の一つとして活用できます。

もし1つだけ持ち帰るなら

次に配置を決めるとき、「なぜこの人にこの作業を任せるのか」を一言で本人に伝えてください。特別な検査は要りません。この一言が、感覚的な配置から仕組みへの最初の一歩になります。

よくある質問

Q. 適材適所と適性検査は、どう違いますか?

A. 適材適所は「向いている場所に人を置く」という考え方そのもので、適性検査はそれを判断するための手段の一つです。厚生労働省編の一般職業適性検査(GATB)のように、感覚ではなく測定に基づいて配置を検討する方法があります。

Q. 配置ミスマッチは、なぜ生産性と離職の両方に影響するのですか?

A. 向いていない作業を担当し続けると、習熟に時間がかかり生産性が上がりにくくなります。同時に、本人は「自分には向いていない」という手応えのなさを感じ続けることになり、それが早期離職の一因になります。

Q. 厚労省編の職業適性検査(GATB)とはどんな検査ですか?

A. 知的能力・言語能力・空間判断力・指先の器用さなど9種類の適性能を測定し、個人の特徴と職業との適合性を判断する検査です。50年以上の実績があり、採用選考・適材配置・教育訓練・再配置など幅広い場面で活用されています。

Q. 検査を使わなくても、適材適所は実践できますか?

A. はい。特別な検査がなくても、配置の理由を言語化し、本人にフィードバックを求める仕組みがあれば、感覚的な配置よりも精度は上がります。CCUS(建設キャリアアップシステム)の技能レベルも、判断材料の一つとして活用できます。

Q. 小規模な会社でも実践できますか?

A. 人数が少ない会社ほど、一人の配置ミスマッチの影響が大きくなります。大掛かりな検査を導入しなくても、配置理由の言語化と定期的なフィードバックの2つから始めれば、規模に関係なく実践できます。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。配置は「決めて終わり」にせず、理由を言語化し、本人の手応えを聞き、必要なら修正するという一連の流れとして扱うことが、生産性と離職を同時に改善する近道です。DIALOGは急性期医療23年の評価・配置の知見をもとに、貴社の適材適所の仕組みづくりにこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

配置の仕組み化から、技能の可視化・定着施策まで伴走します

無料の個別相談から
はじめてみませんか

DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、配置ミスマッチによる生産性ロス・離職リスクの低減をご提案しています。貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

無料相談を申し込む →

参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、労働政策研究・研修機構が公開する一次資料を踏まえた解説です。適性検査の導入・実施は各機関の公表資料でご確認ください。