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定着×組織行動

フォロワーシップ|
リーダーにならない技能者が、現場の成果を決めている

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

職長になりたがらない、けれど現場で一番頼られている職人が、貴社にもいませんか。「なぜリーダーにならないのか」と歯がゆく思うかもしれませんが、その職人がいるだけで現場が回っているとしたら、見るべき視点が違うかもしれません。組織行動論では、チームの成果に対するリーダーの影響は1〜2割程度で、メンバー側の影響が8割以上を占めるとされています。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で「リーダーではないが場を支える人」の存在を見続けてきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。blog-96(チームビルディング)ではチームが育つ段階の設計を扱いました。本稿はその中で、リーダー以外のメンバーの役割に焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: フォロワーシップ理論は経営学者ロバート・ケリーが提唱した組織行動論の考え方で、批判的思考(意見を持つか)と貢献力(積極的に関与するか)の2軸でフォロワーの姿勢を分類します(出典は記事末尾)。

フォロワーシップの検索需要と、登録基幹技能者制度

8割以上
チーム成果に対するメンバー側の影響(リーダーは1〜2割)
3
登録基幹技能者の経審加点(技術者点数)
5類型
フォロワーシップ理論における姿勢の分類

出典:経営学者ロバート・ケリーのフォロワーシップ理論、国土交通省「登録基幹技能者制度」(建設業法施行規則)

「班長にならない」は、能力不足のサインではない

建設現場では、技能に優れていても職長や現場代理人といった管理職を希望しない職人が一定数います。これを「向上心がない」と捉えると、その職人の力を活かす機会を逃します。国土交通省の登録基幹技能者制度は、熟練した技能とマネジメント能力を持つ技能者を認定する仕組みで、経営事項審査でも加点対象になります。管理職にならなくても技能を極めるキャリアパスが、すでに国の制度として存在しているのです。

フォロワーシップ理論では、フォロワーの姿勢を「批判的思考(自分の意見を持っているか)」と「貢献力(積極的に関与しているか)」の2軸で5つのタイプに分類します。両方が高いタイプは「模範的フォロワーシップ」と呼ばれ、いわゆる組織の「右腕」にあたる存在です。職長にならない熟練職人の多くは、実はこのタイプに近いことがあります。

管理職にならない技能者の力を活かす3つの実務

特別な役職を用意する必要はありません。3つの実務を意図的に組み込むことで、リーダーにならない技能者の主体性を現場の成果につなげられます。

実務内容目的
意見を求める場面を増やす工程や安全対策について、役職に関係なく意見を聞く批判的思考を歓迎する姿勢を示す
貢献を可視化する技能指導や後輩のフォローなど、管理職以外の貢献を記録に残す「見えている」ことを本人に伝える
技能を極めるキャリアを示す登録基幹技能者等、管理職以外の到達点を選択肢として提示する「班長にならない選択」を前向きにする

ここまでの整理

3つの実務に共通するのは、「役職がある人だけが現場を動かしている」という前提を疑うことです。リーダーの影響が1〜2割にとどまるなら、残り8割を占めるメンバー側の主体性をどう引き出すかが、現場の成果を左右します。

意見を言う職人ほど、実は現場を支えている

これは私の見立てですが、急性期病院の多職種チームでも、疑問や改善案を口にするスタッフほど、実はチームの質を底上げしていました。指示に黙って従うだけの姿勢は一見扱いやすく見えますが、組織行動論では批判的思考を欠いたフォロワーは、かえってチームの気づきを減らすとされています。blog-79(心理的安全性)で扱った「言える文化」は、この批判的思考を安全に発揮させるための土台にあたります。

もし1つだけ持ち帰るなら

次の現場で、「職長にならないが一番頼られている職人」を1人思い浮かべてください。その人に、次の工程について意見を聞く場面を1つ作るだけで、8割の力を引き出す最初の一歩になります。

よくある質問

Q. フォロワーシップとは何ですか?

A. リーダーではないメンバーが、組織の成果に対して主体的に貢献する姿勢や行動を指す考え方です。組織行動論では、批判的思考(意見を持つこと)と貢献力(積極的に関与すること)という2つの軸で、フォロワーの姿勢を5つのタイプに整理します。

Q. なぜリーダーシップだけでは不十分なのですか?

A. 組織行動論の研究では、チームの成果に対するリーダーの影響は1〜2割程度で、メンバー側の影響が8割以上を占めるとされています。優れたリーダーがいても、周囲が主体的に動かなければ成果にはつながりにくいということです。

Q. 登録基幹技能者制度とはどう関係しますか?

A. 登録基幹技能者は、熟練した技能とマネジメント能力を持つ技能者を国土交通省が認定する制度で、経営事項審査でも加点対象になります。管理職(現場代理人等)にならなくても技能を極めるキャリアパスが、制度として用意されている一例です。

Q. 意見を言う職人を「扱いにくい」と感じてしまいます。どう捉えればよいですか?

A. 組織行動論では、批判的思考を持ちながら積極的に貢献するタイプが最も組織に有益とされています。指示に黙って従うだけの姿勢よりも、疑問や改善案を口にする職人の方が、現場の質を底上げしている可能性があります。

Q. 小規模な会社でも実践できますか?

A. はい。特別な制度は不要です。まずは「班長にならない優秀な技能者」を社長が意識的に把握し、意見を求める場面を増やすことから始められます。人数が少ない会社ほど、一人ひとりの主体性が成果に直結します。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。「役職がある人だけが現場を動かしている」という前提を疑い、班長にならない優秀な技能者の主体性をどう引き出すかを考えることが、チーム成果の8割を占めるメンバー側の力を活かす近道です。DIALOGは急性期医療23年の多職種連携の知見をもとに、貴社の技能者が力を発揮できる現場づくりにこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

現場チームの設計から、技能者一人ひとりの主体性を活かす仕組みづくりまで伴走します

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、組織行動論に基づく現場チームづくりをご提案しています。貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、国土交通省が公開する一次資料、および組織行動論の一般的な知見(ロバート・ケリーのフォロワーシップ理論)を踏まえた解説です。登録基幹技能者制度の詳細・最新の要件は国土交通省の公表資料でご確認ください。