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定着×組織行動

チームビルディング|
「飲み会」ではない、現場のチーム力を上げる3つの設計

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

チームビルディング=社員旅行や飲み会、と思っていませんか。それは違います。懇親の場が無意味なわけではありませんが、それだけでは「機能するチーム」は作れません。建設業の死亡災害は全産業の中で最多で、原因の多くは技術不足ではなく、意見が言えない・情報が共有されないというヒューマンエラーです。工事のたびに編成が変わる現場チームだからこそ、意図的な設計が必要です。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で多職種チームの機能不全と機能不全からの回復を見続けてきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。blog-79(心理的安全性)では「言える文化」という土台を扱いました。本稿はその土台の上で、チームそのものを育てる設計に焦点を当てます。

この記事の要点

背景の前提: チームの発達段階モデル(形成期・混乱期・統一期・機能期・散会期)は、心理学者ブルース・タックマンが1965年に提唱した組織行動論の基礎的な考え方です(出典は記事末尾)。

建設業の死亡災害と、チームの発達段階

232
建設業の死亡者数(令和6年・業種別最多)
約3
全産業の死亡者数(746人)に占める建設業の割合
4段階
機能するチームに至るまでの発達段階

出典:厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」

なぜ「機能するチーム」が現場の安全に直結するのか

大工・設備・電気・内装など、複数の会社・職種が同時に動くのが建設現場の常です。それぞれが専門的な技術を持っていても、チームとして機能していなければ、情報の抜け漏れや意見の言いにくさが事故につながります。技術的なスキル不足よりも、コミュニケーション不足によるヒューマンエラーが労働災害の一因になりやすいことは、建設業の安全管理において繰り返し指摘されてきました。

組織行動論では、集団が機能するチームへと育つには、形成期(メンバーが顔合わせする段階)・混乱期(意見の対立が表面化する段階)・統一期(役割やルールが定着する段階)・機能期(チームとして成果を出せる段階)という過程を経る必要があるとされています。この段階を飛ばして「機能期」だけを求めても、表面的な協調にとどまりやすくなります。

現場のチーム力を上げる3つの設計

建設現場の特有の難しさは、工事のたびにメンバーが変わり、毎回「形成期」からやり直しになることです。特別な研修は不要で、3つの設計を意図的に組み込むだけで、機能するチームに育つまでの時間を短縮できます。

設計やること対応する段階
初日の役割確認誰が何を担当し、誰に何を報告するかを10分で共有する形成期を短縮する
意見を安全に出せる場工程や安全対策について異なる意見を歓迎する朝礼運用混乱期を経由させる
現場ルールの明文化報告の粒度・道具の扱い方など、暗黙知を1枚にまとめる統一期を定着させる

ここまでの整理

3つの設計に共通するのは、「時間が経てばチームは自然にまとまる」という前提を捨てることです。工事のたびにメンバーが変わる建設業では、意図的な設計なしに機能期へ到達するのは難しいという前提から出発します。

混乱期を怖がらない、という発想の転換

これは私の見立てですが、急性期病院の多職種カンファレンスでも、意見の対立が一切ない会議は、たいてい機能していませんでした。誰も本音を言わず、後から個別に不満が漏れる構造です。混乱期を経ずに機能期に到達したように見えるチームは、表面的な協調にとどまっていることが多いというのが、23年の臨床経験からの実感です。blog-79(心理的安全性)で扱った「言える文化」は、この混乱期を安全に経由させるための土台にあたります。

もし1つだけ持ち帰るなら

次の現場初日、「誰が何を担当し、誰に何を報告するか」を10分だけ全員で確認してください。特別な研修は要りません。この10分が、形成期を短縮し、機能するチームへの最初の一歩になります。

よくある質問

Q. チームビルディングと聞くと社員旅行や飲み会を思い浮かべますが、違うのですか?

A. 懇親の場が無意味なわけではありませんが、それだけでは「機能するチーム」は作れません。組織行動論では、チームは形成期・混乱期・統一期・機能期という段階を経て育つとされ、意見の対立を安全に扱う場や役割の明確化といった設計が必要です。

Q. 工事ごとにメンバーが変わる現場でも、チームビルディングは意味がありますか?

A. むしろメンバーが固定されない現場ほど重要です。毎回「形成期」からやり直しになるため、初日の役割確認や情報共有の型をあらかじめ決めておくことで、機能するチームに育つまでの時間を短縮できます。

Q. 混乱期(意見の対立)は避けるべきではないのですか?

A. 組織行動論では、混乱期を経ずに機能期に到達したチームは、表面的な協調にとどまりやすいとされています。工程の進め方や安全対策について異なる意見が出ることは、チームが育つ過程として起こり得るものです。

Q. 心理的安全性とチームビルディングは何が違いますか?

A. 心理的安全性は「言いたいことが言える」という土台の文化です。チームビルディングはその土台の上で、チームが形成期から機能期へと育つプロセスそのものを設計する取り組みです。両者は補完関係にあります。

Q. 小規模な現場でも実践できますか?

A. はい。人数が少ない現場ほど、役割の明確化や情報共有の型はシンプルに済みます。特別な研修や外部講師を呼ばなくても、初日の10分程度の顔合わせと役割確認から始められます。

最後に — 北海道の中小建設業様へ

北海道の中小建設業様へ。「時間が経てばチームはまとまる」という前提を捨て、初日の役割確認・意見を出せる場・ルールの明文化という3つを意図的に設計することが、機能するチームへの近道です。DIALOGは急性期医療23年の多職種連携の知見をもとに、貴社の現場チームづくりにこの視点を落とし込むご提案をします。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきました。その臨床知見をもとに、現在は北海道で健康経営・介護予防・ウェルネスの支援に取り組んでいます。

詳しいプロフィールを見る

現場チームの設計から、心理的安全性・1on1の運用まで伴走します

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DIALOGは、北海道の中小建設業を対象に、健康経営優良法人の取得支援に加えて、組織行動論に基づく現場チームづくりをご提案しています。貴社の現状に合わせて一貫して伴走します。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年・急性期医療従事)の臨床知見と、厚生労働省が公開する一次資料、および組織行動論の一般的な知見(タックマンモデル)を踏まえた解説です。現場チームの設計は各社・各現場の状況により異なるため、本記事は一般的な考え方の整理としてご参照ください。