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ストレスチェック・法改正

建設業のストレスチェック義務化
50人未満の現場が今から動くべき3つの準備

著者: 三宮 孝太(作業療法士・株式会社DIALOG代表)

ストレスチェックは、やればやるほど現場が荒れる場合があります。受検率だけを追って、不調者の声を拾う仕組みが空っぽのまま走り出すと、起こります。

労働安全衛生法の改正により、これまで50人以上の事業所に課されていたストレスチェック制度が、50人未満の事業所にも段階的に広がる方向で整理されています。言い換えると、今までは「うちは10人だから関係ない」と言えた中小建設業の社長も、近い将来、何らかの形で実施を求められます。

株式会社DIALOG(2026年5月設立)は、作業療法士として23年間、急性期医療の現場で「人が働き続けられる条件」を見続けてきた知見をもとに、北海道の中小建設業に向けた健康経営支援を提供しています。制度の要件と、現場で実際に効くメンタル対策の両面から、対応を実務に乗せていくのが私たちの役割です。

本記事では、施行を待たず今から動かしておきたい3つの準備を、最新の制度動向と現場の視点から整理します。読み終えたあとに、「来週、まずこの電話をかけよう」と判断できる材料をお渡しすることが目標です。

この記事の要点

制度の前提: ストレスチェック制度は労働安全衛生法第66条の10に基づき、現在は常時50人以上の事業所に実施が義務づけられています(厚生労働省)。50人未満への対象拡大は同法の改正論議の中で進められており、施行時期は厚生労働省の通知で順次示される予定です(出典は記事末尾)。

この記事で考えたいこと

なぜ50人未満の建設業まで広がるのか

結論を先に置きます。働き手の心の不調が、企業規模を問わず深刻になっているからです。厚生労働省の「労働安全衛生調査」では、メンタル不調で連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所は全体の13.5%にのぼります(令和5年・出典)。

ストレスチェック制度とは、簡単に言うと、年1回、働く人にアンケート形式で心の状態を確かめてもらい、高ストレス者には医師の面接指導につなぐ仕組みです。現在は常時50人以上の事業所のみに義務づけられています(労働安全衛生法第66条の10)。

厚生労働省の検討会では、50人未満の事業所にも対象を広げる方向が示されています。中小建設業は、季節変動・重層下請・現場の孤立といった条件が重なりやすく、心の不調が水面下で進みやすい業種だと感じています。

施行を待つと、何が困るのか

「制度が始まってから動けばいい」と考えたくなる場面ですが、待ちの構えはおすすめしません。理由は2つあります。

1つ目は、外部委託先の逼迫です。ストレスチェックの実施事務や、結果に基づく医師の面接指導は、自社で完結できる中小建設業はほぼありません。施行直前は、外部委託先や産業医への依頼が一気に集中します。北海道のような地方ほど、対応可能な事業者の数が限られます。

2つ目は、不調者が出てからの動きが間に合わないことです。制度を入れた直後に高ストレス者が見つかっても、面接指導の医師がいない、復帰のフローも決まっていない、という会社では、若手はそのまま静かに辞めていきます。これは私が23年の急性期医療の臨床現場で何度も見てきた、不調から離脱までの典型的な流れと重なります。

今から動かしておきたい3つの準備

施行までの猶予を、書類を待つ時間ではなく、地ならしの時間として使います。3つの準備をおすすめしています。

施行を待たず今から動かしたい3つの準備

  1. 外部委託先の目星づけ——ストレスチェックの実施事務を任せられる事業者を、地域の産業保健総合支援センターに相談しながら2〜3社リストアップする
  2. 産業医・嘱託保健師との契約準備——高ストレス者の面接指導を担う医師の確保を、施行直前ではなく今のうちに進める
  3. メンタル不調者の現場復帰フロー整備——休んだ職人がどの順番で現場に戻るかの手順を、社内で一枚紙にまとめておく

※具体的な実施要件・適用範囲は厚生労働省の指針で定められています。最新の要件は公式資料で必ずご確認ください。

3つに共通するのは、書類を一気に整えるのではなく、人と契約と手順を先に置くという発想です。順番に置いていけば、施行のタイミングで慌てなくて済みます。

23年現場にいた人間として言わせてもらうと

これは私の見立てですが、ストレスチェックは「点数を見る制度」ではなく、「相談していい空気を会社が宣言する制度」だと捉えるのが本筋ではないでしょうか。

急性期病院のリハビリ室で、50代の元現場監督の方が「現場に戻りたいけど、戻り方がわからない」と話してくれたことが、今も耳に残っています。職場に戻る道筋が見えないと、本人は「いっそ辞めよう」と判断しがちです。

23年の臨床経験で培った視点では、人は不調を「迷惑をかけたくない」という気持ちから抱え込みます。声に出せないまま無理を重ね、ある時に一気に離脱します。ストレスチェックの本当の価値は、点数ではなく、声を出してよいタイミングを年1回会社側から開きにいくことだと感じています。

「やればよい制度」にしないために

ストレスチェックを「やればよい制度」にしてしまうと、現場には「またアンケートか」という冷めた空気だけが残ります。これは制度の問題ではなく、運用の問題です。

大事なのは、実施前に社長が「結果は処遇には使わない」「相談しても不利益はない」と明言することです。この一言があるかないかで、回答の精度がまったく変わります。

もし1つだけ持ち帰るなら: ストレスチェックは「点数を見る制度」ではなく「相談していい空気を会社が宣言する制度」。施行を待たず、外部委託先と復帰フローを先に整えるのが、中小建設業の社長の最短ルートです。

よくある質問

Q. ストレスチェックの義務化拡大は、いつから始まりますか?

A. 労働安全衛生法の改正により、これまで50人以上の事業所のみに課されていたストレスチェックの実施義務が、50人未満の事業所にも段階的に広がる方向で整理されています。施行時期と詳細は厚生労働省の通知で順次示される見通しです。最新の動向は厚生労働省のストレスチェック制度ページでご確認ください。

Q. 従業員10名程度の小さな建設会社でも、本当に対象になりますか?

A. 労働者を雇用する事業者であれば、対象となる方向で議論が進んでいます。規模が小さくても、現場の心の不調は若手の離職と直結しやすいため、制度より前に取り組む価値があると感じています。最新の適用範囲は厚生労働省のストレスチェック制度ページでご確認ください。

Q. 施行を待ってから準備を始めても間に合いますか?

A. 施行直前は外部委託先や産業医の確保が一気に逼迫することが見込まれます。特に北海道のような地方では、対応可能な事業者の数が限られるため、早期に契約先の目星をつけておくのが現実的だと感じています。

Q. 外部委託先を選ぶ時、何を基準に見ればよいですか?

A. 実施事務従事者の体制、結果の秘密保持、医師による面接指導までの導線、集団分析の有無の4点を最低限の確認軸として整理するのがよいと感じています。価格の安さだけで選ぶと、面接指導や事後フォローでつまずく場合があります。

Q. うちの会社で、何から始めればいいですか?

A. まず、地域の産業保健総合支援センターに無料相談の連絡をすることから始めるのがよいと感じています。中小事業所向けの支援制度や、外部委託先の選び方の助言を、費用をかけずに受けられます。社内で完結させようとせず、外の専門家の手を最初から借りるのが無理のないスタートです。

最後に — 中小建設業の社長へ

ストレスチェックの対象拡大は、書類仕事の側面が目立ちます。けれど本質は、「現場で働く人の心の不調を、会社として早く拾う仕組みをどう持つか」を言葉にする作業です。準備を始める過程で、自社が職人の声をどれだけ聞いてきたかが、社長にとって初めて見える形になります。

DIALOGは、作業療法士23年の臨床経験で培った「人が働き続けられる条件を見抜く目」を持っています。そこにストレスチェック制度の動向理解を重ね、外部委託先の選定から復帰フロー整備までを一貫して伴走します。書類の代行ではなく、施行のあとも自走できる仕組みづくりが私たちの提供価値です。

まずは、産業保健総合支援センターに無料相談の電話を一本入れるところから動いてみてください。そこから先のステップは、私たちと一緒に詰めていきましょう。

著者プロフィール

三宮 孝太(株式会社DIALOG代表取締役 / 作業療法士)。作業療法士として23年、急性期医療の現場で人の生活と仕事を見てきた経験をもとに、北海道の健康経営・介護予防・ウェルネス支援に取り組んでいます。

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DIALOGでは、北海道の中小建設業を対象に、ストレスチェックの外部委託先選定から、産業医契約・現場復帰フローの整備までを一貫して伴走しています。現場の状況を伺ったうえで、貴社に最適な準備ステップをご提案します。「うちは何から始めればいいか」という入口のご相談から承ります。

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参考データ

本記事は、著者(作業療法士歴23年)の臨床経験と、各省庁の最新公開情報を踏まえた解説です。ストレスチェック制度の対象拡大の内容、適用範囲、施行スケジュール等は、今後の指針・通達により詳細が補われる場合があります。実際の対応にあたっては、厚生労働省の最新公表資料を必ずご確認ください。本記事は特定の法的効果を保証するものではありません。具体的な労務・建設業法上の解釈については、社会保険労務士・弁護士等の専門家との併用をおすすめします。